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インタビュー

【取材】どうやってるの?PDCA ~SMBC日興証券様の定例ミーティング編

「データに基づくPDCAが大事だと分かっているが、日々の業務に追われてDoばかりになってしまう」
「チームでうまくPDCAを回したいが、どうやればよいかわからない」

このようなお悩み解決のヒントとして、USERGRAMをご活用頂いている企業様のお取り組みをご紹介します。

今回は、オンラインでの証券投資のサービスを提供されているSMBC日興証券株式会社のダイレクトチャネル事業部の皆さんにUSERGRAMを使った定例ミーティングの様子を取材させて頂きました!

SMBC日興証券様の定例ミーティングの概要

  • 頻度・所要時間…毎週・1時間(火曜の10:00~11:00)
  • 参加者…ダイレクトチャネル事業部の3名(企画チームのダイレクト推進課 美根様、制作・運用チームのEマーケティングセンター 龍様・渡辺様)
  • 事前の準備…観察テーマを基本的に前週のミーティング時に決定
  • 内容…USERGRAM上のユーザ行動をサイト上で再現しながら確認していき、改善案までその場で議論
  • 観察するユーザ…最近実施した施策(LPやメール、導線改善など)
  • 定例ミーティングの効果…①複数人で見ると1人では気づけない発見がある、②自分で得た発見や改善案をレポーティングして共有する手間が減るので、スピーディーに改善できる
  • PDCA実践のコツ…これはお客様のためになるというものは基本実行。もしやってみてダメなら次!という意識
SMBC日興証券様のウェブサイト(https://www.smbcnikko.co.jp/

SMBC日興証券様の「USERGRAM PDCAミーティング」を見学

SMBC日興証券様では、支店の窓口で担当者のアドバイスを受けながら取引をする「総合コース」と、主にインターネット上で取引をする「ダイレクトコース」の2種類があります。
今回、取材したダイレクトチャネル事業部の皆さまは、「ダイレクトコース」の新規顧客獲得をミッションに、主にウェブ広告の運用やサイト改善、メール配信などをご担当されています。

週1回、「USERGRAM PDCAミーティング」を実施

毎週1回、火曜の10:00~11:00の1時間を使って、「USERGRAM PDCAミーティング」を実施されているとのこと。
参加者は、ダイレクトチャネル事業部の企画チームのダイレクト推進課 美根様と、制作・運用チームのEマーケティングセンター 龍様・渡辺様の計3名。

最近実施した施策(LPやメール)USERGRAMで得た発見をもとに実行した施策の効果検証など、その時々で気になっているものを観察テーマにされているそうです。

1つのテーマに対し、皆さんで一緒にUSERGRAMを見て議論しながら、改善案までその場で決めて、スピーディーにPDCAを回されているそうです。

「最近改修した申込フォームの検証」というテーマで観察がスタート

会議室のモニターにUSERGRAMの画面を投影して、ミーティングが始まりました。

この日のテーマは、「最近改修した申込フォームの検証」。
ちょうど1ヵ月前ぐらいに改修したので、お客様がスムーズに口座開設(=コンバージョン)できているかを見てみたかったとのこと。
また、月末に申込フォームの検証で、開発メンバーと一緒に話し合う会議があるようで、ここで出てきた改善案はその会議に持っていきたいとのことでした。

最初の10分ほどで、美根様から今回のテーマの共有(どんな施策なのかなど)を簡単にした後、「直近1ヵ月に口座開設(コンバージョン)」し、かつ「該当の申込フォームを見て口座開設した」ユーザを絞り込みます。

※「◯◯のページを見た」ユーザを絞り込む方法はこちら

大きなスクリーンに投影したUSERGRAMを見ながら、
現行サイトについての気づきや改善案を議論していきます

ユーザ1人を5分ぐらいで観察しながら気づき・改善案を議論

一覧に表示されたユーザのうち、各ユーザを5分~7分ぐらいの時間をかけて観察

観察中は各々気づきを声に出し、議論しながら観察が進んでいきます。
ユーザのつまずきや不可解な動きを発見したら、USERGRAMでの観察を一旦止めて、別ウィンドウで実際に自社のサイトを開いて、なぜそのような行動をしたのか、どういう導線で動いているかを実際にユーザになりきりながら確認していきます。

「申込フォームに順調に入力して、口座開設してくれているけど、メールの送信から本人認証まで4時間とか時間があいてしまっている。これじゃあ次のステップに進んでもらえない…。何でこんなに時間があくのかな?」

「こういうユーザ多いね。本人認証が完了しないとその後の手続きに進めないって分からないんじゃないかな?」

「あー確かに。じゃあ、口座開設の完了画面や口座開設後に送るメールに、『今後の流れ(口座開設から取引開始まで)』みたいな内容を入れたらどうかな?」

「いいね!それなら次のステップが分かって順調に取引開始に進んでくれるかも!」

など、USERGRAMでのユーザ行動と実際のサイト等やメールを見比べながら、具体的な打ち手の検討が進んでいきます。

得られた気づきや改善案は、美根様がその場でお手持ちのノートにメモしつつ、
あとでこのユーザの動き振り返って見たいときのために、USERGRAMのお気に入り機能(※)にも登録されていました。

お気に入り機能は、ログインID毎に登録されるものなので、他のメンバーの方と情報を共有されたい場合には、ディスカッション機能がおすすめです。

次に、口座開設した後のユーザの動きも確認

別のユーザでは、口座開設した後の気になる動きを発見。
このユーザは、口座開設を完了してから、数日後にGoogle検索で流入した後、「入金」というワードでサイト内検索をして、入金に関するコンテンツをいくつか閲覧していました。

「確かに、口座開設した後は取引開始のために入金が必要だし、入金方法が気になるよね。このユーザはどんな方法で振り込もうか迷っていそうだね。口座開設後に動きのあるユーザを見てみようか。」

そこで、その後は、口座開設後に動きのあるユーザを数人見ることに
ユーザ一覧で、絞り込み条件で指定した黒いバーの後に、訪問のあるユーザをピックアップして見ていきます(下記図の①のようなユーザ)。

すると、これらのユーザも同じように、口座開設から数日~1週間後に入金関連のページを見ていました。
そこから、「入金方法についてのコンテンツも、口座開設後のフォローメールで積極的にご案内する」といった改善案が出ていました。

この日は約40分かけて、7人のユーザを観察したところで残り時間10分に。
観察を切り上げ、まとめタイムに入ります。

最後に、まとめタイムへ

美根様が中心となって、今回観察した7人から得られた気づきと改善案を、おさらいしていきます。

「本人認証まで時間がかかってる人が半分以上いましたね。口座開設完了メールに『まだ完了していません』という文言を入れたり、『取引開始までの流れ』を入れてみましょうか」

そして、改善案一つひとつに対して、「これはすぐにやりましょう」、「これはすぐにはできないから開発も入ったミーティングで提案してみましょう」と、次のアクションを決めていきます

最後に次回の定例ミーティングのテーマを相談

今回の気づきをもとに、口座開設後のメールから流入したユーザをもう少し見たいということで、「口座開設後に送るメールのパラメータから流入したユーザ」の動きを見ることに決まり、1時間のミーティングが終了しました。

この会では、計4つの改善案を出されており、それぞれ実行に向けて動かれているようです。

定例ミーティング終了後のインタビュータイム

終了後、定例ミーティング実施の背景やPDCA実践のコツについてお話を伺いました。

Q. なぜこのような定例ミーティングを始めようと思ったのですか?

渡辺様:ユーザの動きを見てPDCAを回すことはすごく重要なので、最初は、「各々10人ぐらいユーザを見て、その観察結果を持ち寄ってミーティングをしよう!」ということでやってみたのですが、うまくいかず…

1人で見ようとするとどうしても後回しになってしまったり、ミーティングで共有するための観察結果をまとめるのに時間がかかってしまって。
あとは、せっかくまとめても、ミーティングまでに時間があいてしまうと、観察結果を忘れてしまったり…。

その点、定例ミーティングだと、ここでやるという時間が決まっているので、強制的に時間が確保できますし、観察結果をまとめて共有する手間や時間もなくなりました
この形が一番効率的だし自分たちに合っているなとなったんです。

美根様:あとは、みんなで見ると3人それぞれ見るポイントが違って、気づきが1人よりも色々出てくるんですよね。

例えば、龍さんは流入経路に着目してくれたり、今回だったら、渡辺さんはユーザが行動した時刻に着目していて、本人認証に時間がかかっていることを発見してくれたり。それもメリットの1つだなあと。

Q. ミーティング中に観察できるユーザの数は多くても10人ぐらいですが、観察人数が少ないなどの懸念はありますか?

龍様:特に懸念はないです。
もし、1回の定例ミーティングで見てみてまだ足りないなと思ったら、次の週も同じテーマで見ればいいのであまり気にしていないです。2~3週見れば、20人近く見ることができますし。

Q. 出てきた改善案はこの後どうするのですか?

美根様:まずは、私がミーティング中にノートにメモしていた今回の観察の結果(特徴的な行動、行動の理由の仮説、改善案を1セットで簡単にまとめたもの※)を、ミーティング後に2人にメールで共有しています。

そのあと、「施策実行計画シート」というシートに出てきた施策やそれに対する実行計画を追記して、みんなで実行管理をしています。

また、実行にあたっては、

  • 実装難易度が低いもの:ミーティング後にすぐに制作側に回して実行。
  • 実装難易度が高いもの:開発も交えた別の週次ミーティングに持ち込んで、仕様の検討・開発に入れ込んでいく
  • もう少し検証が必要なもの:次の週のUSERGRAM PDCAミーティングで、もう少しユーザの動きを確認した上でどうするか判断

のように、振り分けて改善を進めています。

Q. PDCAを回すためのコツは何だと思いますか?

渡辺様: 心がけているのは、「これはやった方がいいと思うものは基本やる」、「やってみてダメなら次」ということでしょうか。

ただ、絶対うまくいくという変な自信があるんですよね(笑)。
今までUSERGRAMで多くのお客様を見ていく中で、自分の中にお客様の行動に対しての肌感もありますし、仮説もあるので。
なので、これをやることで、お客様の体験が悪くなるのではないかということを考えたことはあまりないです。

Q. 実行した改善案についてどう振り返っていますか?

美根様:はい。実行した改善案については、全てではないですがこれまでの定例ミーティングの中で、ユーザの行動が意図通りになっているのか(動きがスムーズになった、離脱が減った等)は確認しています。

また、数値でも確認できるものは確認しています。
ただ、数字として上がっているかという点は、銘柄やマーケットなどの他の大きな要因に左右されるところも大きい。小さいUX改善を日々していくこと(ベースを作っていくこと)が非常に大事なことだと考えていています。

最後に

お忙しい中、定例ミーティングの取材にお付き合い頂いたSMBC日興証券の皆さん、本当にありがとうございました!

※SMBC日興証券様のお取組み事例は下記でもご紹介しています。

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