マーケターの皆様から、「効率よく施策改善を行っていきたいと考えているものの、なかなかうまくいかない…」とご相談を頂くことが多く、特に以下のような点でのお悩みを伺うことが多いです。
・効率よく成果の出そうな改善を行いたいが、何から手を付けるべきかわからない
・改善案の効果試算がしづらく実装に踏み切れない
・施策実施後の成果算出が後回しになり、PDCAがうまく回らない
・CVしなかったユーザをCVまで導きCVRを高めたいが、どのように分析していけば良いかわからない
上記のような場合、USERGRAMのオプション機能である行動ファネル分析を活用すると、解決できる可能性が高まります。
本記事では、行動ファネル分析を活用し、定量データと定性データから効率よく分析を行ったり、成果につながった事例をご紹介していきます。
分析の一助となれば幸いです。
▼行動ファネル分析の詳細な仕様や操作方法を知りたい方はこちら
顧客体験におけるボトルネックの発見をサポートする「行動ファネル分析機能」とは?
※本機能はオプション機能であるため、ご興味のある方は弊社カスタマーサクセス担当もしくはカスタマーサクセス窓口(cs@bebit.com)までお問い合わせください。
目次
改善サイクルとUSERGRAM上の機能
施策改善を効率的に回していくためには、定量データと定性データを併用して分析を行っていくことが重要です。
現在のUSERGRAMでは、どちらのデータも簡単に確認することできます。
例えば、改善サイクルと各ステップにおけるUSERGRAM上の機能を可視化すると、以下のようになります。
図中1⃣のように、行動ファネル分析機能を用いることで、カスタマージャーニー上ボトルネックになっていそうな箇所や、実施した施策の効果を定量的に確認することができます。
さらにUSERGRAM上でユーザの行動観察を行うことで、1⃣で確認したボトルネック箇所の深堀や、結果の要因分析をシームレスに実施することができます。
▼行動ファネル分析機能の活用イメージ
しかし、「普段の業務でカスタマージャーニーを作ったことがなく、どうファネルを策定したらよいか分からない…」という場合には、行動ファネル分析機能とUSERGRAM上の他機能を併用し、CVユーザのカスタマージャーニーの策定から始められることもおススメです。
カスタマージャーニー策定方法例
今回は例として、ECサイトでの「TOPページから購入(CV)」に至るカスタマージャーニー策定例をお伝えしていきます。
流れとしては、まずTOPとCVのみをステップ設定し、セグメント別利用傾向分析から実際に多く閲覧されているページを確認。その結果に基づいてステップを追加していく、というように進めていきます。
ぜひ自社サイトでのカスタマージャーニーを作る際の参考にしてみてください。
<①初期設定>
USERGRAMログイン後左側のサイドバーから行動ファネル分析をクリックし、「新規ファネル作成」ボタンからファネルを作成していきます。
最初は「ページ:TOP→CV:購入」とステップ指定します。
<②セグメント別利用傾向分析を確認>
次に、成功ユーザ(TOPページから購入に至ったユーザ)の一覧を表示し、セグメント別利用傾向分析を確認します。
すると、CVしたユーザ群においては「全商品一覧」ページが多く見られていることが分かりました。
<③ステップ追加をし、ボリュームを確認>
再び行動ファネルの設定画面に戻り、「TOP→全商品一覧→CV」とステップ追加を行い、ファネル作成を行います。
すると、「①TOPページ閲覧したユーザ」の約3割が、「②全商品一覧閲覧を閲覧」しており、このルートをたどったユーザのボリュームが一定数ありそうである、ということが確認できました。
<②~③を繰り返す>
さらに、②同様「TOP→全商品一覧→CV」の流れでCVまで到達したユーザのセグメント別利用傾向分析を確認すると、「利用者ガイド」がよく見られていることが分かりました。
そこで再度ステップを指定しボリュームを確認すると、
TOP→全商品一覧→利用者ガイド→CV:4割
TOP→利用者ガイド→全商品一覧→CV:2割
のユーザが該当することがわかり、「TOP→全商品一覧→利用者ガイド→CV」の割合で遷移をするユーザが多いことが分かり、サイト内のカスタマージャーニーを描くことができました。
このように、「行動ファネル分析→セグメント別利用傾向分析→ボリューム確認」を繰り返すことで、サイト内におけるカスタマージャーニーを作成していくことが可能になります。
▼セグメント別利用傾向分析について、詳しく知りたい方はこちら
「利用傾向を確認」(セグメント別利用傾向分析機能)とは?どう使えるの?
このように、カスタマージャーニーに応じたファネルを設定できたら、具体的な改善案や成果につなげるため、ボトルネックとなっている点の確認・背景の分析や、注力施策をステップとして含めたファネルを策定し、より詳細な分析を進めていきましょう。
ここからは、行動ファネル分析機能を活用し、具体的な改善案や成果につながった事例をご紹介していきます。
行動ファネル分析を効果的に活用した事例
【目次】
①CVまでのボトルネックを特定し、改善インパクトの高い改善案を発案(改善サイクル1⃣・3⃣での活用例)
②行動観察から発案した改善案の実装後、効果測定までをスムーズに実施(改善サイクル3⃣での活用例)
③CVユーザと非CVユーザの行動の差分から、新たな施策を発案(改善サイクル1⃣・2⃣での活用例)
①CVまでのボトルネックを特定し、改善インパクトの高い改善案を発案
ユーザ行動上のボトルネックを改善することで、効果的・効率的にサイト改善を進めていくことができます。
今回は、行動ファネル分析を活用して定量的にボトルネックを特定し、さらに行動観察での気づきを改善インパクトの高い改善案につなげた事例を2つご紹介します。
(1)証券口座開設サイトの事例
<分析目的>
証券口座開設の申し込み開始から完了までのボトルネックを解消し、口座開設数を増やしたい。
<ボトルネック特定>※行動ファネル分析機能を利用
口座開設開始から完了までの各ページを行動ファネル分析で指定し、各ステップにおける遷移率を算出します。
すると、「口座開設情報のご入力」ページの離脱率が高く、そのあとの「申込内容確認」ページにたどり着いていないユーザが際立って多いことがわかりました。
<行動観察>
離脱率の高いボトルネック箇所を特定できたところで、実際に「口座開設情報のご入力」ページを複数回閲覧しているユーザを観察すると、「口座開設情報のご入力」ページを4回以上も連続して表示しているユーザが、多数発生していることが分かりました。
改めて、「口座開設情報のご入力」のページを確認すると、パスワードの要件がわかりづらく、パスワードの設定エラーが発生してしまうのではないかと考えました。
さらに、エラーが発生してもその理由がわからず、次のステップに進めないのではないか?という推測が浮かびました。
<改善案>
そこで、パスワードの要件の視認性を高め、加えて、エラーメッセージでエラーの理由を伝えるような改善案を発案しました。
<改善インパクトの算出>
さらに、担当者は改善インパクトの試算をするため、上記の状況にどのくらいのユーザが該当しているかを行動絞り込みで確認しました。
すると、
・「口座開設情報のご入力」を一度以上訪れたユーザの内、
2回以上連続で同ページを来訪しているユーザの割合は約45%
・「口座開設情報のご入力」を一度以上訪れたユーザの内、
3回以上連続で同ページを来訪しているユーザの割合は約25%
想定されるインパクトの大きさから、すぐに実装されることになったそうです。
(2)サブスクリプション申し込みサイトの事例
<分析目的>
サブスクリプションサービス申し込みまでのボトルネックを解消し、申込数を増やしたい
<ボトルネック特定>※行動ファネル分析機能
申し込み開始から完了までの各ページを行動ファネル分析でステップ指定し、各ステップにおける遷移率を算出します。
すると、「必要書類提出」ページでの離脱率が高いことが分かりました。
<行動観察>
そこで、実際にCVしているユーザを観察し、「必要書類提出」ページ周辺でどのような行動をしているか確認しました。
すると、20分以上「確認書類提出」ページを閲覧しているユーザが複数名いることがわかりました。
担当者は、「ユーザはどんな書類が必要なのか認識がないまま申し込みを始めたため、確認書類提出ページに来てはじめて書類が必要なことがわかり、必要な書類を取りに行ったり探したりしているのではないか」という推察を立てました。
<改善案>
そこで改善案として、申し込み開始ページにポップアップで必要書類一覧を出す施策を実装しました。
<成果算出>※行動ファネル分析機能を利用
ポップアップ施策の実施前後の各1週間において、行動ファネル分析で各ページの遷移率を確認しました。
すると、ポップアップページ流入後の離脱率が約5%減少したという成果が確認できました。
②行動観察から発案した改善案の実装後、効果測定までを簡単に実施
行動観察から良い気付きが得られた後、実装してもその後の効果検証まで手が回らない、行動が変化したことをどう定量的に落とし込めばいいかわからない、といった場合にも、行動ファネル分析を活用することで、簡単に効果検証することが可能です。
<対象サイト>
キッチン用品を取り扱う企業のコーポレートサイト
<分析目的>
コーポレートサイト上にある商品詳細ページを閲覧し、商品に興味を持ったユーザに、ECサイト、または店舗サイトへの遷移を促したい。
※商品詳細ページ:ECサイトに在庫がある商品はECサイトに、在庫のない商品は店舗ページへ誘導する目的のページ
<行動観察>
商品詳細ページを閲覧し、EC購入に至ったユーザを観察していきました。
すると、ECサイトに在庫のある商品はスムーズにECに遷移しているのに対し、ECサイトの在庫のない商品を閲覧した際には、自然検索から入りなおして店舗ページにたどり着いていることが分かりました。
担当者が実際に商品詳細ページをよく見てみると、ECサイトの導線はわかりやすいのに対し、ECに在庫のない商品は、店舗ページへの導線の視認性が低く、ユーザを迷わせてしまっているのではないか、という推察が立ちました。
<改善案>
店舗ページの導線についても、ECサイトの導線と同様に目立たせるよう改善。
<成果算出>※行動ファネル分析機能を使用
施策実施後、行動ファネル分析にて、特定の商品ページ(※特にPV数が高く、売上貢献性の高い商品)から店舗ページへの遷移をステップで指定し遷移率を可視化しました。
すると、施策前後で約5%の遷移率向上が見られたとのことです。
こちらのご担当者様は、以前からGoogle Analyticsを用いての効果検証はされていたそうですが、ステップごとの遷移率を設定・算出することに手間がかかり、なかなか効果検証を行うことができていなかったそうです。
しかし、USERGRAMの行動ファネル分析機能では、ステップごとにURLやCVポイントを指定するだけで、遷移率や離脱率を確認することができるので、より簡単に効果検証を行うことができたとのことです。
施策効果はもちろん、分析工数の圧縮にもつながり、大変お喜びになっていらっしゃいました。
③CVユーザと非CVユーザの行動の差分から、新たな施策を発案できた事例
行動ファネル分析では、ユーザ検索・行動絞り込み機能では確認できなかった「CVしなかったユーザを抽出し、行動観察する」ことも可能になりました。
とはいえ、「CVをしなかった理由」は多岐にわたるため、気づきを得るのが難しいというのも事実です。
以下では、実際にCVしなかったユーザからも効率的に気づきを得て、改善案につながった事例をご紹介します。
<対象サイト>
ITセキュリティ商品の申し込みサイト
<観察目的>
注力している商品Aについて、契約フローを改善し申し込み数を増やしたい。
<ボトルネック特定>※行動ファネル分析機能を使用
まず、商品契約申し込み開始から申し込み完了まで各ページを、行動ファネル分析でステップ指定し、各ステップにおける遷移率を算出します。
すると、商品A詳細ページから申し込みページへ進むステップに大きなボトルネックがあることが分かりました。
<CVユーザの行動観察>
そこで、まずはCVまで成功したユーザについて、行動観察を行いました。
すると、多くのユーザが、複数の商品ページをじっくり閲覧して比較検討している傾向があると分かりました。
<非CVユーザの行動観察>※行動ファネル分析機能を使用
逆に、「商材のページは閲覧し申し込み画面に進んだものの離脱してしまったユーザは、きちんと比較検討できていたのか」、と気になった担当者は、行動ファネル分析のCVしなかったユーザの行動を確認してみました。
すると、商品AでCVしていないユーザは、別商品でCVしたのちに商品Aページに流入していることが多いようである、ということが分かりました。
その理由をさらに細かく見ていくと、既存商品を契約していた方が、満期更新時に他商品を検討せずにそのまま更新してしまい、完了後に今回の施策バナーに気が付くケースがあるようでした。
そこで担当者は、事前認知を強め、比較検討をしてもらうことで注力商品の契約に促すことも可能なのではないかと推察し、以下の改善案を実装しました。
<改善案>
①商品選択ページにて、バナー訴求を行う
②1年ごとに既存商品を更新しているお客様に、メルマガやマイページにて注力商品の紹介を行う
いかがでしたでしょうか?
行動ファネル分析機能をご活用いただくことで、定量・定性分析をシームレスに行うことができ、より効率的・効果的にサイト改善を行うことが可能になります。
ぜひみなさまの分析にお役立て頂ければ幸いです。